「売上を上げるため」に、申し込みのしやすいメールフォームの制作が、ホームページを作る上で必須条件なのは間違いないところです。
昨今は高機能なメールフォームプログラムがフリーで配布されており、制作も手軽になってはいますが、結局のところ「比較的楽になった」としか言えないのが実情です。それでも、「メールフォーム作ってね。予算は7,000円程度で」なんて言われることもしばしば。
その理由として、メールフォーム制作には細かい協議コストがついて回ることが挙げられます。一度整理したいと思っていましたので、片っ端からまとめてみました。
1.項目算出
- 必要な入力項目は?
- 必須の入力項目は?
- 入力項目のタイプは?(text, select, radio)
- メールアドレスは2度入力させるか?
原稿もらえないことが普通なので、こちらで考えて(真面目な人ほど手間です…)項目立てして確認⇒ 追加削除などがあり、作ってメールフォームを見せる⇒ これこれ追加して、これこれはやっぱ要らないから削除して。⇒ あーそうそうこれは必須項目にしといて ってなります。やりとりが1度で済めばよいのですが、それ以上に発生してくると手間に感じる部分なのは間違いありません。
2.フォーム詳細機能
- 半角全角を制御する項目はあるか?
- 電話番号は半角へ置換するか?
- 入力エラーをどう対処するか
- フォーム項目が多い場合などに表示・非表示の制御や次ページへ格納を行うか
詳細機能と画面遷移がプログラマのまっ先に気になるところ。正直、メールフォームの項目なんてどうでもいいと普段思えてしまいます笑。予算がしっかりとれているのであれば考慮するポイントです。1~3番目まではテンプレート的に対処しますが、4番目は予算なければやれません。
3.画面遷移
- 確認画面は必要か?
- 確認画面で項目の並び替えは発生するか?
- 送信完了画面は必要か?
- 送信完了画面の文章は?
- 送信完了後、どこへ誘導したいのか?
クライアント様はたいてい、フォームの入力項目だけ気にしますが、フォームを実際に利用する方からすると、確認画面や送信完了画面が非常に重要です。どこかのメールフォームで作りがひどくてストレスたまった経験のある方ならば分かると思います。ここも予算次第で、ここについて打ち合わせを行うかどうかという点、また作りこみ度合いが変わります。
4.メール運用(お客様)
- メールに入力項目を掲載する場合、並び替えを行うか?
- 自動返信メールを実装するか(メールアドレス項目と絡む)?
- 自動返信メールの送信元をどうするか?
- 自動返信メールの送信元に返信された場合どうするか?
- 自動返信メールの件名をどうするか?
- 自動返信メールの文章をどうするか?
- 自動返信メールの署名をどうするか?
- 自動返信メールに免責事項などを記述するか?
メールフォームを利用する、お客様側の満足度につながる重要な部分です。
予算があれば制作中盤頃で、実運用のシミュレーション&協議を行います。予算なければ、テンプレート的に対処します。簡単なサンプルを作っておき、メールフォームを実際に作ったあと、クライアント様に実際に利用してもらい、そこで指示がくれば修正・こなければそのままリリース。営業コストがかかる部分をカットします。
5.メール運用(クライアント様)
- 宛先設定⇒単数?複数?BCCは?
- フォーム種類・入力内容によってメール転送先を設定するか
- メール転送はフィルタを利用するか
- ガラケーまたはスマートフォンへ転送するか
- メールに入力項目を掲載する場合、並び替えを行うか?
クライアント様の実務に絡む部分です。
メール運用が必要な場合、実務内容にそって打ち合わせを行う必要があります。予算がない場合、単純にメールアドレスを聞くだけで、余計なことは聞かないようにします。
6.送信テスト
- 送信・受信テストの段取り
- デモサーバでのテスト
- 本番サーバでのテスト
- お客様のメールアドレス設定後のテスト、受け取れない場合は技術対応
たいていはフォームからの送信と、自動返信の2種類をテストすることになります。
下請けでメールフォーム制作を行なっている場合、発注元と面識なしなのがたいていだと思いますが、そういうケースですとテストの段取りがやや複雑に、かつ神経を使うことになりがちです。ディレクションを元請けがしっかり段取りしてくれると良いのですが、そうでない場合は当然 下請け側に営業コストがかかることになります。
まとめ
いかがでしょうか。細かく項目立てすると、結構な制作コストがあることがわかると思います。結局のところ、お客様の予算が低ければ、こちらでシンプルな実装のみ行うことになります。またフォーム制作者が「フォームを実際に打ち込みを行い、改善点をピックアップして改善提案する」というサービスがありますが、見直しコストとやりとりを行う営業コストが予算的に大丈夫なケースでなければ行なってはいけません。
試行錯誤、協議提案はタダではできません。
制作・運用経験に裏打ちされた価値あるものであり、その協議にもコストがかかるからです。
また、「お客様とロールプレイング」と、「パソコンにうとい複数ユーザーでのテスト入力」があり、ここを行うことでだいぶコンバージョン(成約率)が変わります。費用対効果を考えると非常にオススメなのですが、これはリリース後のタイミングでも遅くないかもしれませんね。
依頼者側視点:コスパ良く作るには
協議コストを減らせば制作料金を抑えることができます。
- 項目を原稿提出する
- 最低限の機能を指定する、あとはお任せと伝える
機能を指定するのは難しいかもしれませんが、優秀なよそのホームページにあるメールフォームのアドレスを送って「こんな感じだとおいくら?」と聞くと楽です。
しかし安く作らせるだけが重要ではありません。ホームページにある程度アクセスが見込めるのであれば、一度「予約が入りやすく、実務運用がしやすい」メールフォームの制作を検討したほうが、実際の収益につながることでしょう。
というわけで、メールフォーム制作といってもピンキリになります。お客様から「いくらでできる?」と聞かれ、答えに詰まってしまうところですが、こう答えるようにしています。「あればいいという程度、のものであれば***円で。予約が入りやすいメールフォームなら***円です。」
結局のところ、クライアント様がどれくらいの品質を求めているのかヒアリングし、そこから料金を算出提示するだけのことです。
協議コストが高コスト
どこまでやれるかは予算次第。